「2,500万円で飛行機が買える」というニュースを見て、調べ始めた。

ところが出てくるのは「日本ではまだ制度が整っていない」という説明ばかり。

で、自分は結局いま何ができるのか。そこに答えている記事が見当たりません。

答えは「飛べます」。ただし条件つきで、免許は約600万円の重いほうを取る必要があります。

  • ✅ いま日本で小型機を飛ばすことはできる(自家用操縦士の免許があれば)
  • ⚠️ LSA専用の軽い免許制度が日本にはないので、免許は約600万円の重いほうを取ることになる
  • ⚠️ 飛べるのは昼間・視界の良い日。夜と悪天候は飛べない
  • 🔴 VEGA自体は「現時点では日本国内での飛行を予定していない」(メーカー公式FAQ・後述)

以下、この4つを順に説明します。

LSAという飛行機は、どんな飛行機ですか?

空のマイカー研究所

2000年代にアメリカで生まれた区分で、軽くてシンプルな2人乗りまでの小型機です。最大重量600kg以下(水上機は650kg以下)・エンジン1基・座席は最大2席が目安です。

LSAは、日本でも飛ばせますか?

空のマイカー研究所

条件つきで飛べます。ただしLSA専用の軽い免許が日本にはないので、自家用操縦士の免許が要ります。飛べるのは昼間・視界の良い日です。

疑問は、この記事に来た検索の言葉をもとに書いています。

目次
  1. LSAは軽くてシンプルな2人乗りまでの小型機
  2. 日本のLSAは「許可」の枠で、気軽には飛べない
  3. VEGAは日本にLSAの制度を根づかせる挑戦
  4. 出典・参考

LSAは軽くてシンプルな2人乗りまでの小型機

LSAは、2000年代にアメリカで生まれた飛行機の区分。

おおまかに言うと「軽くてシンプルな2人乗りまでの小型機」にあたります。

各国の制度ではおおむね次のような枠で定義されています。

  • 最大重量600kg以下(水上機は650kg以下)
  • エンジン1基
  • 座席は最大2席

アメリカやヨーロッパでは、この区分の機体向けに審査を簡略化した基準(米国のASTM基準、欧州のCS-LSAなど)と、取得しやすい専用免許(スポーツパイロット免許など)がセットで整備されました。

これが、個人が飛行機を持つハードルを大きく下げました。

世界の状況は世界のLSA市場で紹介しています。

日本のLSAは「許可」の枠で、気軽には飛べない

一方の日本では、航空法にLSAの区分はいまもありません。

動きがあったのは2022年12月26日。

国土交通省航空局のサーキュラー(No.1-006「研究開発用航空機等の試験飛行等の許可について」)が改訂されました。

これにより、アメリカやヨーロッパのLSA基準に適合した完成機であれば、試験飛行等の許可の枠組みで飛ばせる道が開かれました。

これは航空法に新しい区分を作ったのではなく、試験飛行等の許可(航空法第11条ただし書)の中にLSAを加えた形です。この許可で飛ぶ機体は、耐空証明を持たない扱いです(国土交通省の意見募集への回答・2022年)。

もっとも、この仕組みには制限があります。日本航空機操縦士協会(JAPA)の解説資料から、要点を並べます。

  • 専用の簡易な免許制度はなく、飛行場から9kmを超える2地点間を飛ぶには自家用操縦士の技能証明が必要
  • 飛行は昼間の有視界飛行
  • 管制圏と特別管制空域は飛べない。2地点間は人口の多い地域を避け、経路を書いて申請する
  • 対象はメーカーが作った「完成機」(S-LSA)だけで、許可は4か月ごとに更新が要る

(出典:JAPA「ライトスポーツ航空機、LSA の概要」・2025年6月改訂版・2026年9月30日確認)

つまり「アメリカのように気軽に」はまだ飛べません。

海外のLSA先進国は「機体の基準」と「専用免許」の2本柱で普及させました。

それに対し、日本はまだ1本目の入口が開いたところ、というのが現在地です。

米国の最低20時間に対し、日本は数十時間

「専用免許がない」と言われてもピンときません。日米で何がどれだけ違うのかを並べます。

アメリカ 日本
LSAを飛ばす免許 Sport Pilot Certificate 自家用操縦士(LSA専用の区分なし)
最低飛行訓練時間 20時間から(14 CFR 61.313・2026年9月5日に条文で確認) 法定時間+実際は数十時間
日本で取る費用 ― 約600万円(TryAir Flight Clubの総額)
飛べる時間帯 昼間の有視界飛行が基本 昼間の有視界飛行に限定

この差が、日本でLSAが広がらなかった理由です。

時間で見ると、違いの大きさがはっきりします。

訓練時間は、米国の最低20時間に対し日本は数十時間規模で、単純比較でも数倍です。

日本の免許は、総額の例で約600万円・期間は6か月から1年3か月かかります。

機体が同じでも、乗るまでの距離がまるで違う。これが「日本にLSAが根づかなかった」の中身にあたります。

裏を返せば、「重い免許を取れば飛べる」ということです。制度が変わるのを待たなくても、自家用操縦士の免許があれば、いま日本で飛んでいる小型機を操縦できます。

実額と期間は免許の費用と取り方にまとめました。

VEGAは日本にLSAの制度を根づかせる挑戦

ここで気づくことがあります。

国産LSAメーカーであるLAND AERONAUTICSの挑戦は、機体づくりです。

それと同時に、「日本にLSAの制度を根づかせる」挑戦でもあります。

限定100機のオーナーが生まれ、国産の機体が実際に空を飛び始めれば、制度整備を求める声は大きくなっていくと、当研究所は見ています。

日本での飛行は予定せず、許可取得はサポート

日本での飛行についての、公式FAQの原文です。

日本には現在、米国と同等のSport Pilot / LSA制度はありません。日本国内でのVEGAの運航については、今後の機体認証や法制度への適合を前提としており、現時点では日本国内での飛行を予定していません。

ただし同じ回答には続きがあります。

機体完成後は、日本国内での飛行をご希望されるオーナーに対して、関係法令や機体の条件に応じた飛行許可の取得に向けたサポートも行っていく予定です。

ここは制度の話とつながっています。

日本ではLSAが航空法の区分ではなく許可の枠の中にあり、軽い専用の免許も無い以上、メーカー側が先に「飛べます」と言うことはできません。言えるのは「機体ができたら、許可を取る手伝いをする」までです。

制度が動けば、この文の書きぶりも変わるはず——そこが見どころになります。

引き渡しは2029年より順次。その日までに制度が動くかどうかが、このプロジェクトの一番の見どころです。

当研究所では国の制度の動きを制度・免許カテゴリで追いかけます。

制度を待つ間にできるのは免許を取ること

制度が動くのを待つ間にできることは、はっきりしています。免許を取ることです。

理由は3つ。

  1. 制度が変わっても、免許は無駄になりません。仮にLSA専用の軽い免許ができても、上位の自家用操縦士は当然その中に含まれるからです
  2. 免許があれば、制度を待たずに今すぐ飛べます。VEGAではない小型機で、いま空を飛べる状態になります
  3. 時間がかかるからです。6か月から1年3か月、学科試験は年6回。2029年は遠いようで、準備の時間としては長くありません

出典・参考

※制度の記述は2026年9月2日時点の内容です。

VEGAの日本国内での飛行に関する記載は公式FAQによります。最新の取り扱いは国土交通省の発表をご確認ください。


VEGAが飛べる日に、自分が飛ぶために

引き渡しは2029年より順次。免許の取得には6か月から1年3か月かかり、学科試験は年6回しかありません。

機体が届いてから動くのでは間に合いません。

しかもこの免許は、VEGAを待たずに今すぐ役に立ちます。取ってしまえば、いま日本で飛んでいる小型機を操縦できます。


※この記事は国土交通省の資料と、報道をもとにしています。

実際に飛ばせるかどうかの最終的な判断は、国土交通省または地方航空局にご確認ください。