LAND AERONAUTICSの本社所在地は、新潟県三条市帯織。航空機メーカーの立地としては、意外に感じた人も多いと思います。しかし燕三条を知っている地元民からすると、これはかなり筋の通った選択に見えます。

燕三条とは:金属加工の一大集積地

新潟県のほぼ中央、燕市と三条市にまたがる一帯は「燕三条」と呼ばれる金属加工の集積地です。

  • 江戸時代の和釘づくりから始まる、数百年のものづくりの歴史
  • 包丁・洋食器は世界的なブランド(燕の洋食器、三条の刃物)
  • プレス、切削、溶接、研磨、表面処理——金属加工のあらゆる工程の専門企業が半径数kmに集まっている

「図面を持って回れば、その日のうちに試作の相談ができる町」と言われるほど、多品種・小ロット・高精度のものづくりに強いのがこの地域です。

飛行機づくりとの相性

小型航空機は、自動車のような大量生産品ではありません。VEGAの初回生産は限定100機。つまり必要なのは「多品種・小ロット・高精度」——まさに燕三条が得意としてきた土俵です。

プレスリリースでも、燕三条の多様な加工技術を持つ企業とのサプライチェーン(部品の供給網)構築が構想として示されています。共同創業者の堀江貴文氏も「技術の裾野から始めるしかない」と、この地域のものづくり基盤への期待を語っています。

「トキエア」からの流れ

もうひとつの文脈が、新潟の空の物語です。代表の和田直希氏は、新潟空港を拠点とする航空会社トキエアの共同代表を務めた人物。新潟で航空会社を立ち上げた経験の次の挑戦として、今度は「航空機をつくる側」に回った形です。この流れは堀江貴文と和田直希——新潟の空の物語で詳しく書いています。

地元にとって何を意味するか

もしVEGAの量産が軌道に乗れば、燕三条の町工場が「航空機部品のサプライヤー」という新しい看板を得る可能性があります。航空機部品は一般に品質要求が厳しい分、単価も高い世界です。

包丁とスプーンの町が、飛行機の町になるかもしれない——。地元にとってこれは、一企業の創業を超えた話だと思っています。当研究所は、この地域との連携の動きを燕三条・新潟カテゴリで追いかけていきます。

出典