「飛行機は買えるとして、操縦は人に任せられないのか」。VEGAを検討する人から自然に出てくる発想です。

約600万円と半年から1年3か月をかけて免許を取るより、持っている人に任せたほうが早くて安いのではないか、と。

雇うことはできます。ただし航空法で、報酬を受けて操縦できる資格が決まっています。

💡 30秒でわかる「操縦士は雇えるのか」の結論

  1. 法律の線引き:雇えるのは事業用操縦士だけ。自家用操縦士の知人に謝礼を払って飛ばしてもらうのは、その人の資格の範囲(航空法第28条の業務範囲)を超えます
  2. 費用:日本には、操縦士を雇う費用の決まった相場がありません。免許を取るより安いと言える根拠は、いまはありません
  3. いちばんの限界:VEGAは2人乗り。操縦士を乗せると、同乗できるのはあと1人だけです

当研究所の見方では、2人乗りの小型機は「自分で操縦する人のための道具」です。

いちばん多い勘違いは、次のとおり。

自家用操縦士の知人に謝礼を払って飛ばしてもらうのは、その人の資格の範囲を超えます。善意のつもりでも、線を越えてしまう行為にあたります。

その線引きは航空法第28条にあり、この記事はそこから逆算して「誰になら任せられるのか」を出しました。

目次
  1. 1. 自家用と事業用の違いは報酬を受けるか
  2. 2. 謝礼を払って頼めるのは事業用操縦士だけ
  3. 3. 操縦士を雇う費用の相場は日本にない
  4. 4. 操縦士を乗せると同乗できるのは1人だけ
  5. 5. 雇う道は相場なし・席減・趣味が消える
  6. 6. 結論:趣味なら自分で免許を取る一択
  7. まとめ:操縦士を雇うより、自分で操縦する道へ

1. 自家用と事業用の違いは報酬を受けるか

航空従事者の業務範囲は航空法第28条で定められており、資格ごとに何ができるかが決まっています。

国土交通省が公開している業務範囲の一覧から、該当部分を引用します。

自家用操縦士

航空機に乗り組んで、報酬を受けないで、無償の運航を行う航空機の操縦を行うこと。

事業用操縦士

一 自家用操縦士の資格を有する者が行うことができる行為。 二 報酬を受けて、無償の運航を行う航空機の操縦を行うこと。 (以下略)

違いは一箇所、「報酬を受けないで」か「報酬を受けて」かです。

2. 謝礼を払って頼めるのは事業用操縦士だけ

オーナーが誰かにお金を払って自分の機体を操縦してもらう場合、そのパイロットは「報酬を受けて操縦する」ことになります。

たとえその飛行が自分たちの移動(=運賃を取らない無償の運航)であってもです。

したがって:

  • ✅ 事業用操縦士の資格を持つ人に依頼する → 報酬を受けて操縦できる資格です
  • ❌ 自家用操縦士の知人に謝礼を払って飛ばしてもらう → その人の資格の範囲を超えます

⚠️ 善意のつもりでも、線を越えてしまう落とし穴

「友人に自家用操縦士の免許を持っている人がいるから、謝礼を払ってお願いしよう」。

この発想は、相手が自家用操縦士なら成立しません。

自家用操縦士に認められているのは、「報酬を受けないで」行う操縦です。

謝礼を払って飛ばしてもらえば、その人の資格の範囲(航空法第28条の業務範囲)を超えます。

善意でも、資格の範囲を超えます。個別のケースは、国土交通省の地方航空局に確かめてください。

お金を払って操縦を頼めるのは、「報酬を受けて」操縦できる事業用操縦士だけです。

なお、LSAの現行の飛行許可の枠組み(制度の解説はこちら)で、雇った操縦士が飛ばす形が認められるかどうかは、許可の条件次第で個別の確認が必要な領域にあたります。

実際に検討する段階では、必ず国土交通省または販売会社に確認してください。

3. 操縦士を雇う費用の相場は日本にない

都合の悪い事実から書きます。

「操縦士を雇う費用」の決まった相場は、日本には存在しません。 個人が小型機を所有し、専属または都度でパイロットを頼むという文化そのものが、日本ではまだ育っていないためです。

比較できるのは、自分で取る側の費用に限られます。

費用 期間
自家用操縦士を自分で取る 約600万円(TryAir Flight Clubの総額) 6か月〜1年3か月(国内)
事業用操縦士を雇う 公表相場なし(専属なら人件費、都度なら個別交渉) —

事業用操縦士は自家用よりさらに上位の資格で、取得費用も期間も大きくなります。

その人に継続的に働いてもらうなら、給与水準はそれに見合うものになると考えるのが自然です。

数字を作ることはしませんが、「免許を取るより明らかに安い」と期待できる根拠は、現時点ではありません。

\ 自分で取る場合の費用と期間 /

💡 雇う側に相場が無い以上、比べられる数字は自分で取る側の約600万円(TryAir Flight Clubの総額)だけです。

内訳と期間、払う前に0円〜数万円で確かめられることまでまとめました。

👉 自家用操縦士 免許の費用と取り方

4. 操縦士を乗せると同乗できるのは1人だけ

費用の前に、考えるべき点がひとつ。操縦士を乗せると、座席が1つ埋まります。

VEGAの座席数は2人(横並び)です(公式サイト)。

LSAという区分は一般に最大2席で、それと一致する数字です。つまり、こうなります。

操縦士を乗せた時点で、同乗できるのはあと1人だけです。家族4人で出かける、という使い方は成立しません。

つまり「人に任せる」という選択は、移動手段としての使い道をかなり狭めます。

\ 実機に乗る前に、0円から始められる /

💡 自分で操縦するなら、学科はスクールに入る前に独学で進められます。

過去問は国土交通省が無料で公開していて、かこもんWEBならスマホで0円で解けます。

👉 自家用操縦士 学科試験の過去問と参考書|無料で解ける場所と教材

5. 雇う道は相場なし・席減・趣味が消える

良い点(2つ)

  1. 約600万円と半年から1年3か月を、払わずに済みます。免許を取る時間が取れない人には、これは大きい
  2. 法律上は問題なくできます。事業用操縦士に依頼するかぎり、航空法第28条の範囲内です

難しい点(3つ)

  1. 決まった相場が、日本には存在しません。いくらかかるかを事前に見積もれません
  2. 2席のうち1席が埋まります。同乗できるのはあと1人だけです
  3. 操縦そのものが目的なら、意味がなくなります。人に任せた時点で趣味が消えます

\ 600万円を払う前に、家で操縦に触れる /

💡 免許に踏み切る前に、家のフライトシミュレーターで操縦の感覚を確かめられます。

手持ちのゲームパッドなら0円、ソフトは月1,000円台から。コントローラーを買うなら1本目は5,000円〜。

👉 フライトシミュレーター コントローラーおすすめ|買う順番は3つ

6. 結論:趣味なら自分で免許を取る一択

あなたの目的 現実的な答え
趣味として飛びたい(操縦そのものが楽しみ) 自分で免許を取る一択。人に任せたら趣味が消えます
移動手段として使いたい 雇うことは法律上可能(事業用操縦士に限る)。ただし座席の制約と、相場が確立していない現実がある
とりあえず所有だけしたい 飛ばさなくても維持費はかかり続けます

当研究所の見方はこうです。

VEGAのような2席の小型機は、「自分で操縦する人のための道具」として設計されています。 人に任せる前提なら、そもそも別のカテゴリの機体(もっと座席が多く、プロの運航を前提とした機種)を検討したほうが、目的に合います。

免許を取ると決めたなら、費用と期間とスクール選びへ。学科は今日から独学で始められます(かこもんWEBは無料です)。

まとめ:操縦士を雇うより、自分で操縦する道へ

  • 雇えるのは事業用操縦士だけ。自家用操縦士の知人に謝礼を払って頼むのは、その人の資格の範囲を超える
  • 2人乗りのVEGAでは、操縦士を乗せると同乗できるのはあと1人
  • 移動手段としてなら雇う道もある。ただし決まった相場は無く、座席も1つ減る

当研究所の見方では、2人乗りの小型機は「自分の手で操縦を楽しむための道具」です。

免許・学科・シミュレーターへの道は、この下にまとめました。


VEGAが飛べる日に、自分が飛ぶために

引き渡しは2029年より順次。免許の取得には6か月から1年3か月かかり、学科試験は年6回しかありません。

機体が届いてから動くのでは間に合いません。

しかもこの免許は、VEGAを待たずに今すぐ役に立ちます。取ってしまえば、いま日本で飛んでいる小型機を操縦できます。


*引用は国土交通省「航空従事者の業務範囲について」(航空法第28条関係)にもとづきます。

VEGAの座席数は2人・横並びです(公式サイト)。

実際の運用可否は個別事情により異なるため、必ず国土交通省・販売会社にご確認ください。

本記事は法的助言ではありません。*


※この記事は航空法第28条の条文と、国土交通省の業務範囲の一覧をもとにしています。

個別の可否は国土交通省または地方航空局にご確認ください。